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東京地方裁判所 昭和43年(借チ)1071号 決定

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔決定理由〕三、………本件で取調べた資料によると、申立人は戦時中渋谷区幡ケ谷に借地し、そこに建物を所有していたところ、戦災によりこれを失つたが、相手方の好意で、より地理的条件もよい本件土地を賃借できることとなり、前記借地の権利を放棄した上、契約を結んだこと、相手方は当時高円寺にあつた借地(現在はそのうち約五〇坪が相手方の所有となつている)上の建物に居住していたことを認めることができる。しかし、右のような契約当時の経緯から、直ちに相手方主張のように一時使用のための賃貸借と認めることは困難であり、甲第一、二号証(相手方作成の本件土地の賃貸借に関する証明書―土地区画整理にそなえ申立人の依頼によつて作成したもの)及び本件資料によつて認められる賃料増額その他契約成立以来約二〇年余の経過に徴すると本件賃貸借が一時使用のためのものであるとは認め難いと考えられる。

よつて、右相手方の主張は採用できない。

四 次に、相手方は昭和五一年一一月の期間満了時に、相手方において更新拒絶の正当事由がある旨主張する。その時期における正当事由の有無について、現在的確に予測することは困難であるが、本件に顕われた事実関係によると、その存在を肯定することは困難と思われる。それ故、右相手方主張の点において本件申立を排斥することはできない。………

五 次に本件資料によれば、本件増築は法令上の制限にも反せず、借地の通常の利用上相当であり、隣地に対する影響の点からも格別不当と考えられる点も認められない。よつて本件申立はこれを認容すべきである。

六、次に附随の処分について考えるに、借地期間は前述の事実関係によれば昭和五一年一二月中に満了すべきこととなるが、本件の事情に鑑みこれを延長せずそのままとすることにする。

次に財産上の給付について考察する。本件資料によれば、地上建物は、契約後間もなく昭和二二年頃に建築されたもので、かなり古くなつて破損した部分もあり、これが朽廃に至るべき時期は的確に予測し難いが、その命数はそれ程永くないと認められる。そして申立人主張のような増築をする場合二階の増築をする場合二階の増築に必要な限度で旧建物の舗強がなされることもあるべきことを考えると、その耐用年数は大巾に増すことが考えられ、本件土地の明渡を切望している相手方に対しかなりの不利益を与えるものと思われる。

本件におけるかような事情を考えると、一般の増築の場合よりもやや高率の財産上の給付を命ずるのが相当と認められる。そこで当裁判所は本件土地の借地権価格を鑑定委員会の意見に従い約三四八万円と算定し、そのほぼ六%に当る二〇万円を財産上の給付として支払わしめることとする。

次に賃料は現在一カ月三〇〇〇円であるが、これについては鑑定委員会の意見にもあるとおり、現在増額の必要がないものと認める。(安岡満彦)

宅地116.46平方米

増改築の内容

(イ) 現存建物の玄関脇八畳間に接して六畳の応接間の増築

(ロ) 右建物の外壁等を防火構造とする

(ハ) 右建物に約二五平方米の木造二階部分を増築し、これに伴い通し住を設ける等の所要の工事をする。

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